面接の日程調整や応募者への連絡に追われて、候補者を見極める時間が取れないという担当者は多いはずです。面接の日程調整と応募者への一次連絡は、手順が決まっていて判断を伴わないため、少人数の体制でも先に自動化できます。
一方、書類選考と面接評価は判断が入るため、自動化より先に評価の基準をそろえる工程です。この記事では、日程調整・書類選考・面接官との連絡・合否連絡の4工程に絞って、どこから手をつけるかを整理します。
採用・面接の効率化は、日程調整と応募者への連絡から手をつける
日程調整と一次連絡は、面接官の空き確認、候補日の提示、日程変更の再調整という決まった手順を繰り返す作業です。担当者の判断が入る余地が少ないため、自動化の効果が出やすい工程です。
これに対して書類選考と面接評価は、必須スキルの見極めや人柄の判断が入ります。ツールを入れる前に基準をそろえる工程になります。この記事では、日程調整・書類選考・面接官との連絡・合否連絡の4工程に絞って、それぞれの効率化の順番を見ていきます。
面接の工程ごとに、手間が発生している場所を切り分ける
4つの工程は、自動化のしやすさと人の判断が残る度合いが工程ごとに違います。まず自社の1件あたりの所要時間を、下の表の横に書き込んでから読んでみてください。
| 採用プロセス | 課題 | 自動化できる業務例 | 人が残る判断 |
|---|---|---|---|
| 日程調整 | 面接官と候補者の間で日程の往復が発生する | 候補日の自動提示、リマインド送信 | 最終的な日程の確定連絡 |
| 書類選考 | 評価基準が面接官ごとにばらつく | 応募情報の一覧化、必須条件でのふるい分け | スキル・人柄の見極め |
| 面接官との連絡 | 空き枠の確認や評価コメントの回収に時間がかかる | 空き枠カレンダーの共有、評価入力フォーム | 評価内容そのものの判断 |
| 合否連絡 | 定型文の作成と送信に手間がかかる | 合否の定型文送信、辞退者への自動返信 | 合否そのものの決定 |
自分の会社で1件あたり何分かかっているかを工程の横に書き込むと、どこから着手すべきかが見えてきます。時間を測る習慣は、後の章でも改めて使います。
日程調整:候補日の提示と再調整で時間が消える
日程調整は、面接官の空き確認・候補者への候補日提示・日程変更の再調整という3回のやり取りで時間が積み上がります。bsearch.co.jpの事例では、1件あたりの面接登録が従来5〜10分だったところ、自動調整では1分未満になったと報告されています。個別調整でも3分以内に収まったとされます(出典:bsearch.co.jp)。
応募者対応:連絡の往復回数と返信の速さが辞退に直結する
電話がつながらない応募者への架電は繰り返しになりやすく、対応の遅れがそのまま辞退につながります。bsearch.co.jpでは、LINE活用によって応募者への電話件数が50%削減された事例が挙げられています(出典:bsearch.co.jp)。
夜間や勤務時間外に応募が来る場合、返信までの時間が面接設定率に影響することもあります。n-lights.comがこの点を報告しています(出典:n-lights.com)。返信の速さは、日中の対応だけでは埋まらない差になります。
書類選考と面接評価:基準がそろっていないと手間が増える
必須スキルと優先スキルを分けて書き出していないと、面接官ごとに見る場所が変わり、確認のやり取りが増えます。評価基準の統一は、ツールを入れる前に紙1枚で決められます。職種ごとに必須スキル・優先スキルをリストアップし、求める人柄や価値観も言葉にしておくと、面接官への説明の手間が減ります。
日程調整を自動化する方法は3つ。どれが自社に合うか
日程調整の自動化は、候補日自動提示型・チャット型・採用管理システム内蔵型の3つに分かれます。面接官のカレンダーを社内で共有しているかどうかで、選べる方法が変わります。
応募経路が求人媒体中心か自社サイト中心かによっても、向き不向きが分かれます。LINEなどのチャット型は自社サイトやSNS経由の応募が多い会社で効きやすく、求人媒体経由が中心の会社では媒体側の機能や採用管理システム内蔵型のほうが合う場合があります。
面接官のカレンダーを共有していない会社が先にやること
面接官の空き枠を先に週単位で確保しておくと、ツールを入れなくても往復が1回減ります。カレンダー共有がないまま自動調整ツールを入れると、二重予約の確認作業が新たに発生するためです。面接可能な曜日と時間帯を面接官ごとに書き出しておくことが、ツール選定より先の一歩になります。
オンライン面接に切り替えると減る手間
オンライン面接に切り替えると、会議室の確保、受付対応、移動時間の調整がなくなります。ZOOMのようなWeb会議ツールと、インタビューメーカーのような面接専用ツールでは、録画や評価記録の扱いが違います。一次面接だけオンラインにして、最終面接は対面に残す分け方をしている会社もあります。
書類選考と応募者対応で使えるツールの種類
書類選考と応募者対応で使うツールは、採用管理システム(ATS)・採用チャットボット・AI面接ツール・適性検査の4種類に分かれます。それぞれ役割が違うため、混同すると導入の順番を誤ります。
ATSは応募者情報の一元管理と選考状況の可視化が中心で、HRMOS採用、sonar ATS、採用一括かんりくんなどが挙げられています(出典:aspicjapan.org/bsearch.co.jp)。チャットボットは応募直後の自動返信、AI面接ツールは一次面接の代替という役割の違いがあります。
AI面接ツールと適性検査は、どの選考段階に入れるか
対話型AI面接SHaiNは1件1,000円〜で面接を実施できると報告されています(出典:n-lights.com)。適性検査は書類選考と一次面接の間に置くと、面接で聞く項目を絞り込めます。最終判断は人が行う前提で、AIの結果は面接の質問材料として使う位置づけです。
採用代行(RPO)に任せられる範囲と、残る仕事
候補者対応や日程調整の実務は外部に出せますが、面接官との調整と評価は社内に残ります。どこまで任せるかによりますが月額数十万円程度と高額で、最低契約期間が3か月〜となっている場合もあると報告されています(出典:aspicjapan.org)。契約の可否は経営判断になるため、担当者が今日決められることではありません。
担当者が今日できるのは、自部門で切り出せそうな業務を洗い出すことです。候補者対応・日程調整のうち外に出せそうな範囲、社内に残したい評価の範囲、いま1ヶ月にかかっている件数の3つを書き出しておくと、上長に提案する材料になります。ツールで回せる量を超えているかどうかも、この時点で確認しておきます。
役割で分ける
- ATS
- チャットボット
- AI面接ツール
- 適性検査
代替できる範囲
- 応募情報の一元管理
- 応募直後の自動返信
- 一次面接の代替(判断は人)
- 面接で聞く項目の絞り込み
効率化でどれくらい時間が減るのか、上位記事の事例で確認できる数字
前の章で見た時間短縮の数字は、いずれも各社が公表している自社事例です。応募者数や面接官の人数、応募経路の構成が違えば、同じ削減幅にはなりません。
数字は「どの工程で削減が起きやすいか」を見る参考として使います。自社に当てはめる前に、次の章で紹介する記録を導入前の1ヶ月に取ってください。
自社の削減時間を出すには、導入前に記録を取る
他社事例の数字はそのまま自社に当てはめられないため、導入前の1ヶ月だけ記録を取ります。記録する項目は次の4つです。
- 応募1件あたりの日程調整にかかった分数
- 往復メール・電話の回数
- 応募から一次面接までの日数
- 辞退件数
1件あたりの分数に月間応募件数をかけると、削減できる時間の見込みを自分で計算できます。当社のAI顧問でも、業務の棚卸しをしたあと削減時間・費用・難易度で着手の順番を決め、減った時間を月次レポートとして記録しています。
無料・低コストで始められる選択肢と、有料に切り替わる条件
無料プランは候補者登録数の上限で有料に切り替わるため、月間応募数を先に数える必要があります。上位記事に料金が明記されているものを、無料の範囲と月額で並べると次のとおりです。
| 始め方 | 無料で使える範囲 | 月額 | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 無料プラン | 上限30名/月まで | 0円 | 候補者登録数が少ない会社の試用 |
| お試しプラン | 期間限定で機能を試せる | 25,000円 | 本格導入前に操作性を確認したい会社 |
| 候補者登録数連動プラン | 候補者登録数に応じて変動 | 8,500円〜12万円 | 応募数が増えてきた会社の本格導入 |
| 初期費用0円のサービス | 初期構築費なしで開始 | 要問い合わせ | 初期費用を抑えて始めたい会社 |
上の表のとおり、上限や月額は会社によって条件がそろっていません。自社の月間応募数を先に数えてから、どの段階のプランが合うかを当てはめてください(出典:aspicjapan.org/saponet.mynavi.jp)。月額料金の分布は25社の料金を調べた記事にもまとめているので、AI関連サービス全般の相場感を見たい場合は参考にしてください。
お金をかけずに今週できる3つのこと
ツールを入れる前でも、テンプレート化と枠の固定だけで手間は減らせます。今週から着手できるのは次の3つです。
- 応募受付・日程案内・合否連絡の定型文をテンプレート化し、返信を書く時間をなくす
- 求人原稿をテンプレート化し、職種ごとに使い回す(出典:n-lights.com)
- 面接官に週の面接可能枠を先に出してもらい、候補日を固定する
採用手法を増やしすぎると管理コストが膨らむため、応募経路を絞ることも効果があります(出典:spi.recruit.co.jp)。テンプレートと枠の固定は費用がかからず、今週中に終えられる作業です。
専任担当者がいない会社が、3ヶ月で定着させる進め方
専任のAI担当者がいなくても、3ヶ月あれば効率化を定着させられます。当社のAI顧問では、初月に業務の棚卸し、2ヶ月目にツール選定と手順書を渡して社員が実務で使い、3ヶ月目にうまくいかない箇所を直して社内ルールを整え、減った時間を数字で記録するという順番で進めます。
採用業務でも同じ順番が使えます。1ヶ月目は工程ごとの時間を測るだけにし、2ヶ月目に1工程だけツールを入れ、3ヶ月目に手順書へ反映します。当社は日々の運用の代行はせず、基本的な設定と運用は顧客の社員が行う前提で伴走しています。社内での進め方は中小企業のDXの進め方でも詳しく説明しています。
応募者の個人情報を扱う工程で、決めておくルール
応募書類や面接記録をAIツールに入力する前に、入力してよい情報の範囲を決める必要があります。当社は情報を機密性で3段階に分けて社内ルールを整えています。
AIツールを使う場合は、応募者への事前通知と同意取得、データの利用目的の説明を行います(出典:note.com)。合否の最終判断は人が行い、AIの結果は参考として扱う位置づけです。当社は、安全に運用できないと判断した業務はAI化を勧めていません。情報の線引きの作り方は生成AIガイドラインの作り方にも整理しています。
合否判断そのものをAIに任せることは避けてください。AIの結果は面接の質問材料や参考情報にとどめ、最終判断は人が行います。
外部に相談するとき、月額に何が含まれるかを確認する
採用代行やATSの外部相談とは別に、業務全体をAIで見直す伴走支援という選択肢もあります。その場合は、月額に何が含まれているかを先に確認します。当社のAI顧問は、月額5万円(チャット中心)、月額10万円(業務の棚卸し・手順作成まで)、月額30万円(要件定義・設計まで)の3つで、初期費用はありません。
対象は社内に専任のAI担当者がいない企業で、対応は日本国内のオンライン中心です。料金帯ごとの中身の違いは、25社の料金を調べた記事にまとめています。
よくある質問
採用の効率化にはどうすればいいですか?
日程調整と応募者への一次連絡から着手し、1工程ずつ時間を測りながら進めます。判断を伴わない工程のため、少人数でも早く効果が出ます。
人事担当者が効率化したい採用業務はどれですか?
上位記事では日程調整、応募者対応、選考状況の管理が挙がっています(出典:aspicjapan.org)。この3つは判断より作業の繰り返しが占める割合が高い工程です。
無料のツールだけで採用業務を回せますか?
候補者登録数の上限があるため、月間応募数を数えてから判断します(出典:aspicjapan.org)。上限を超える見込みがあれば、有料プランへの切り替えを前提に検討します。
AI面接を導入すると、面接官は不要になりますか?
不要にはなりません。組織文化との適合性の見極めや最終判断は人が行います(出典:note.com)。
ツールを入れたのに業務が減らないのはなぜですか?
判断基準と役割分担が決まっていないと、ツールの前後で確認作業が残ります(出典:spi.recruit.co.jp)。ツール導入の前に、評価基準を紙1枚でそろえておく必要があります。
まとめ
- 日程調整と応募者への連絡から着手すると、判断を伴わないぶん少人数でも早く効果が出る
- 書類選考と面接評価は、必須スキルと優先スキルを分けて基準をそろえてからツールを検討する
- 他社事例の削減時間は前提が違うので、導入前の1ヶ月だけ自社の時間を記録する
- 無料プランは候補者登録数の上限で切り替わるため、月間応募数を先に数える
まずは今週中に、4工程それぞれの1件あたりの所要時間を書き出してみてください。いま何にどれだけ時間を使っているか、任せられそうな業務、応募者情報として入力してよい範囲。この3つを整理してから相談すると話が早く進みます。会社として仕組み化する段階まで来たら、フォームからご相談ください。
