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BlogAI活用の現場で得た知見

医療事務の効率化にかかる費用と、常勤5〜10名の医院に合う進め方

約13分で読めます
医療事務業務効率化クリニック経営ツール比較

クリニックの受付は、電話が鳴り続ける時間帯と患者が並ぶ時間帯が重なりやすく、少人数のスタッフでは対応しきれません。医療事務の効率化は、まず1週間の記録を取ることから始めるのが結論です。記録が無いまま導入するツールは、削減できる時間の見込みも外れやすくなります。

どのツールを選ぶかより先に、どの業務にスタッフの時間を奪われているかを数字で把握します。着手する業務の選び方、ツールと代行の費用、スタッフに反発されない進め方を、渡された情報の範囲で順に答えます。

医療事務の効率化は、患者を待たせている業務から手をつける

結論は、受付の行列と電話が鳴り続けている時間帯にスタッフが何をしているかを1週間記録し、そこから着手することです。ツールを先に決めると、実際には発生していない業務にお金をかけてしまいます。明日から記録用紙かスプレッドシートを1枚用意し、受付に置くところから始めます。

記録するのは、業務名・1日あたりの発生回数・かかっている時間3つだけです。電話予約の対応、問診票の聞き取りと転記、会計の現金授受、レセプトの点検などを1行ずつ書き出します。1週間分がそろえば、次にどの業務から着手するかを決める材料になります。

優先順位を決める物差しは、削減できる時間・費用・導入の難しさ

当社がAI顧問で使っている決め方は、候補の業務を書き出したうえで、削減時間・費用・難易度の3つで順番を付けることです。医療事務なら、電話予約の受け答え、問診の聞き取りと転記、会計の現金授受、レセプトの点検などが候補になります。1週間の記録を取ったあとに、この3つに当てはめて並べ替えます。

難易度が低く、毎日発生する業務から先に選ぶと、最初の1件が動きやすくなります。逆に、発生回数が少ない業務や、費用が大きい割に削減時間が読めない業務を最初に選ぶと、効果が見えないまま止まりがちです。3つの物差しのうち、迷ったら難易度を優先して選びます。

先に手をつけてはいけない業務

患者の状態判断が絡む業務、例外対応が多く手順が定まっていない業務は、最初に選んではいけません。判断が入る業務をツールに渡すと、誤りが起きたときに誰が責任を持つかが曖昧になります。当社は、安全に運用できないと判断した業務にはAI化を勧めていません。同じ考え方が医療事務にも当てはまります。

カルテの記載内容など、外部サービスへ渡す範囲を決めきれない業務も、ルールを決めるまで後回しにします。手順が固まっていない業務を先に渡すと、導入後に手戻りが発生し、結局スタッフの作業が増えます。着手する順番は、判断の要らない業務・手順が決まっている業務からです。

電子カルテ・Web予約・Web問診・RPA・医療事務代行の違いと、合う課題

効率化の手段は、院内の作業を置き換えるツールと、業務そのものを外に出す代行の2系統に分かれます。どちらを選ぶかは、いま人手を奪っている業務がどれかで決まります。電話が多いのか、会計の行列なのか、レセプトの手戻りなのかで、合う手段が変わります。

下の表に、手段ごとの効率化できる業務、相性のいい課題、費用の目安を並べます。費用は出典のある数字だけを載せています。

ツールと代行の比較表

手段効率化できる業務相性のいい課題費用の目安
電子カルテ(クラウド型)診療記録の入力・共有紙カルテの転記に時間がかかる初期費用無料〜数十万円程度(出典:solasto.co.jp
電子カルテ(オンプレミス型)診療記録の入力・共有院内サーバーでの一元管理を重視する初期費用200万〜500万円程度(出典:solasto.co.jp
Web予約システム電話予約の受け答え電話が鳴り続けている初期費用無料〜70万円程度(出典:solasto.co.jp
Web問診問診の聞き取りと転記診療前の聞き取りに時間がかかる出典に費用の記載なし
自動精算機・キャッシュレス決済会計の現金授受会計待ちの行列ができている出典に費用の記載なし
レセコン・レセプトチェックソフトレセプトの点検・作成レセプトの手戻りが多い初期費用は通常150万円前後(出典:rpa-technologies.com
RPA・AIクラーク定型入力の代行繰り返し入力の作業が多い出典に費用の記載なし
医療事務代行(BPO)レセプト作成などの業務全体発生件数が少なく人を割きにくい月5〜10万円ほど、レセプト作成1件100円の従量制もある(出典:rpa-technologies.com

電話が鳴り止まないクリニックが最初に選ぶもの

電話の本数が問題なら、Web予約とWeb問診が直接効きます。ISBは、Web予約システムの導入後に電話の問い合わせ件数が削減された事例を紹介しています(出典:isb.co.jp)。ただし、患者がWebを使わなければ電話は減りません。院内掲示と会計時の案内をセットにして、Web予約の存在を患者に伝える必要があります。

会計の待ち行列が問題なら自動精算機・キャッシュレス決済、レセプトの手戻りが問題ならレセプトチェックソフトへ向かいます。1週間の記録で発生回数が多かった課題に、直接効く手段を選ぶのが順番です。

導入費用は初期費用と月額を足し、使う年数で割って比べる

月額だけを見ると判断を誤ります。初期費用+月額×使う予定の年数で総額を出して比べるのが正しい見方です。月額が安くても初期費用が大きければ、3年使う前提での総額は逆転することがあります。上の表にある費用の目安を、この式に当てはめて計算します。

MEDICALPASSは、月額3万円の診療予約システムとWeb問診システムを導入したケースを例として挙げています(出典:products.medicalpass.jp)。月額だけなら小さく見えます。しかし使う年数をかけ合わせて、他の手段と比べる必要があります。

見積りを取るときに必ず書いてもらう項目

見積書には、初期費用、月額、最低契約期間を書面で出してもらいます。加えて保守・サポートの範囲、データ移行費用、解約時のデータの扱いも同じ書面に書いてもらいます。この6項目がそろっていないと月額の安さだけで比較してしまい、あとから追加費用が判明する事態につながります。

当社がAI顧問サービスの提供会社を調べた範囲でも、初期構築費を別に取る社と初期費用なしの社に分かれていました。最低契約期間も3ヶ月6ヶ月・なしの社に分かれていました(2026年9月3日時点、25社の公式ページを確認)。料金の比べ方はAI社長・AI顧問の費用相場をまとめた記事で詳しく扱っています。同じ観点は医療系のシステムにも使え、月額の安さだけで選ぶと後悔しやすくなります。

外注したほうが安くなるのはどんなときか

医療事務代行の料金相場は月5〜10万円ほどです。レセプト作成1件100円のように必要な分だけ頼めるサービスもあります(出典:rpa-technologies.com)。レセコンの初期費用が通常150万円前後であることを踏まえると、発生件数が少ない業務は代行、毎日大量に発生する業務はツール、という分け方で検討できます。

代行に出しても、患者への説明と最終確認は院内に残ります。すべてを丸投げできるわけではなく、窓口となるスタッフは引き続き必要です。発生件数と、院内に残す確認作業の量を見て、代行かツールかを決めます。

ツールと代行を選ぶ観点
  • ツールが向く|代行が向く
  • 毎日大量に発生する業務
  • 発生件数が少ない業務
  • 初期投資を払える資金がある
  • 月々の従量費用で抑えたい
  • 院内で操作を覚えられる人がいる

レセプト業務は、ソフトで減る部分と人の経験でしか埋まらない部分がある

点検漏れや形式的な誤りはチェックソフトで拾えますが、算定の判断そのものは人が担う部分として残ります。ソフトを入れれば算定の精度まで上がるわけではありません。

ひのとりホームクリニックは、同じ診療内容で初心者が約10万円、経験者が約15万円と算定額に差が出た例を挙げています。この差額5万円は年間で約26万円の損失になると説明しています(出典:hinotori-homeclinic.com)。だからレセプトは、ソフトの導入と算定知識の共有を両方進めます。手順書にして、特定の1人に依存しない状態を作ることが、ツール導入と同じくらい効果を左右します。

スタッフが操作に不安を持つとき、どの順番で入れれば混乱しないか

全部同時に切り替えず、1つの業務を1つのツールで置き換えて、動くところまで見届けるのが混乱しない進め方です。複数のツールを一度に入れると、どの操作でつまずいているのかが分からなくなります。

反発の多くは、操作そのものより、忙しい時間帯に新しい手順が増えることへの不安から起きます。院長が決めるのは、練習する時間を診療時間内に確保することと、戻す判断の期限です。この2つを先に決めておくと、スタッフは新しい手順を試しやすくなります。

新しい手順を渡すときにそろえる3つ

当社のAI顧問では、初月に業務を棚卸しし、2ヶ月目に手順書を渡して社員が実務で使います。3ヶ月目にうまくいかない箇所を直して社内ルールを整える進め方をとっています。この3ヶ月の流れは中小企業のDXの進め方をまとめた記事でも詳しく扱っています。

医療事務でも同じで、手順書・練習する期間・困ったときの相談先を先にそろえてから本番に入ります。日々の運用は院内のスタッフが行う前提で、誰が窓口になるかを1人決めておくと、質問が分散せずに済みます。

患者情報を外部サービスに渡す範囲を先に決める

当社は社内の情報を機密性で3段階に分ける方法をとっています。公開してよい情報、院内限りの情報、取扱注意の情報に分ける考え方は、生成AIの社内ルールをどう決めるかをまとめた記事でも紹介しています。

問診内容や検査結果をどのサービスに入れてよいかを、導入前に紙1枚で決めてスタッフに配ります。例外が出たときに誰が判断するかも決めておき、判断の記録先を1か所にまとめます。ルールが1枚にまとまっていれば、新しいスタッフが入ったときの説明も短く済みます。

常勤5〜10名のクリニックが無理なく始められるのはどれか

初期費用が小さく、既存の運用を大きく変えずに始められるものから選ぶのが、少人数のクリニックに合った進め方です。Web予約とWeb問診は初期費用無料の選択肢があります(出典:solasto.co.jp)。月額3万円規模の組み合わせ例もあります(出典:products.medicalpass.jp)。

院内の機器を入れ替える電子カルテのオンプレミス型や自動精算機は、資金と工事の計画が要ります。先に小さい方を動かして効果を見てから、大きな投資を検討する順番が無理がありません。

  • 当てはまる人:常勤5〜10名で、電話予約と問診の聞き取りに時間を取られている
  • 当てはまる人:まとまった初期投資を避けたい
  • 当てはまらない人:すでに院内システムを大きく刷新する計画がある
  • 当てはまらない人:会計の行列が最大の課題で、レジ周りの設備投資が必要

効果は何で測るか。待ち時間・電話件数・残業時間を導入前から記録する

測る指標は、待ち時間、残業時間、電話件数、患者数の4つです。(出典:mnes-lookrec.com)導入前の1週間分を先に取っておかないと、導入後の変化を比べられません。最初の記録がそのまま比較の基準になります。

誰がいつ記録するかを決めます。受付が閉院時に日計として残す形が、続けやすい方法です。医療事務でも月1回、院長が数字だけ見る場をつくると、記録が途切れにくくなります。

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いまの業務をもとに、最初に取り組むべきところを一緒に整理します。その場で契約を求めることはありません。

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AI導入の相談先として、当社がやっていること

株式会社AiPHAは、社内に専任のAI担当者がいない企業向けに、業務の棚卸しからツール選定、手順書作成、社内ルール整備、効果測定までを毎月支援しています。AI顧問サービス自体の内容はAI顧問サービスとは何をしてくれるのかをまとめた記事で紹介しています。

料金は月額5万円(チャット中心)、月額10万円(棚卸し・手順作成まで)、月額30万円(要件定義・設計まで)で、初期費用はありません。日々の運用の代行はせず、安全に運用できないと判断した業務にはAI化を勧めません。当社はAI顧問で、減った時間を月次レポートにして記録しています。対応は日本国内、オンライン中心です。

要点

最初の1業務は、毎日発生していて手順が決まっている業務から選ぶ。全部同時に導入しない。待ち時間・電話件数・残業時間は導入前から記録する。

よくある質問

医療事務の業務を効率化するにはどうしたらいいですか?

発生回数と所要時間を1週間記録し、毎日発生していて手順が決まっている業務から置き換えます。最初は1業務・1ツールに絞ることが、混乱を避ける方法です。

医療事務でよくあるミスは?

算定の誤りと転記の漏れです。算定は経験差が金額差として出ることが分かっています(出典:hinotori-homeclinic.com)。チェックソフトで形式的な誤りを拾い、算定の判断は手順書で共有します。

医療事務の電話対応は難しいですか?

診療中に他の作業と並行するため、負担が大きい業務です。Web予約の導入で問い合わせ件数が減った事例があります(出典:isb.co.jp)。電話に残す用件を先に決めておくと、切り替えがスムーズになります。

効率化のツールは同時に複数入れてもいいですか?

同時導入は勧めません。1つが日常業務として回るまで次に進まないことが原則です。切り替え直後は、元の手順に戻せる状態を残しておきます。

補助金は使えますか?

公募中の制度と対象要件は年度で変わるため、申請先の公式ページで締切日と対象経費を確認します。AI導入で補助金を検討する場合の流れは補助金の申請スケジュールをまとめた記事にまとめています。

まとめ

  • 着手順は、1週間の記録で発生回数と時間を測り、毎日起きていて手順が決まっている業務から選ぶ
  • 手段はツールと代行の2系統。電話が多いならWeb予約とWeb問診、会計の行列なら自動精算機、レセプトの手戻りならチェックソフト
  • 費用は初期費用+月額×使う年数で比べ、最低契約期間と解約時のデータの扱いを見積りに書いてもらう
  • 導入は1業務ずつ。待ち時間・電話件数・残業時間を導入前から記録する

次の一歩は、今週1週間の業務記録を受付に依頼することです。業務名・発生回数・かかった時間の3つを記録し、どの業務から着手するかを見えるようにします。記録をもとに社内の仕組みとして進め方を整えたい段階まで来たら、フォームからご相談ください。

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