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BlogAI活用の現場で得た知見

電子カルテの選び方と比較の順番、常勤1〜数名のクリニックが先に決める2点

約12分で読めます
電子カルテクリニックシステム選定

電子カルテを選ぼうとすると、メーカーの数と機能の一覧に圧倒されて、何を基準に比べればいいのか分からなくなります。

電子カルテ選びは、設置の形とレセコンの扱いを先に決めるだけで候補が絞れます。比較する順番を決めてから見ると、機能表を眺め続ける状態から抜け出せます。

電子カルテの選び方は、比べる順番を決めると候補が絞れる

先に決めるのは、オンプレミス型かクラウド型かという設置の形と、いまのレセコンを使い続けるかどうかの2点です。常勤医師1〜数名のクリニックでは、この2点だけで候補がかなり減ります。

設置の形とレセコンの扱いを決めたあとに見るのが、操作性、サポート体制、費用の総額、セキュリティと障害時の対応です。順番を入れ替えて機能一覧から比較を始めると、どの製品も似た機能に見えて絞り込めません。

製品名を並べる前に、自院の診療の流れ(受付・診察・会計・検査)のどこに時間がかかっているかを書き出してください。これが比較の物差しになり、この後の各項目を自院の状況に当てはめて読めます。

オンプレミス型とクラウド型の違いを、費用・導入期間・保守で比べる

オンプレミス型とクラウド型の違いは、費用・導入期間・保守の3つの観点で表にすると比べやすくなります。特徴の説明だけで終わる比較表では、見積書のどこを見て確認すればよいかまで分かりません。

下の表は、各行に「見積書や契約書のどこを見て確認するか」を並べています。型の特徴を知るだけでなく、確認する行まで押さえてください。

比較観点オンプレミス型クラウド型選定時の確認ポイント注意点・落とし穴
導入・維持コストサーバー購入・設置費が初期に発生初期設定費・研修費は別建てで発生見積書の初期費用の項目を分解して確認する無料をうたう提案でも初期設定費・研修費が別建てのことがある
利用開始までの期間サーバー設置と設定に時間がかかる比較的短期間で利用開始できる導入計画書の日程を契約前に確認する計画が遅れると開院日までに間に合わない
保守・管理院内のサーバー保守と入れ替えが必要メーカー側で保守を担うサーバー入れ替えの時期と費用を質問する何年目に発生するかを聞かないと総額が読めない
カスタマイズ院内の運用に合わせて個別設定しやすい標準機能の範囲での対応が中心個別対応の可否と追加費用を確認する個別開発が必要な場合は費用と期間が読みにくい
障害時の動き院外の通信断でも院内で動く通信回線が止まると利用できない代替手段と復旧の連絡先を契約前に決める代替手段を決めずに稼働すると診療が止まる

オンプレミス型が向くのは、院内で完結させたい診療所

オンプレミス型は、院内にサーバーを置くためサーバー購入・設置費が初期にかかります(出典:medical-jpn.jp)。設置場所、空調、電源の確保を見積り前に確認してください。

院外の通信が止まっても院内で動く一方、サーバーの保守と入れ替えの費用がいつ発生するかが見えにくくなります。何年目に入れ替えを見込むかをメーカーに確認してから比較してください。

クラウド型が向くのは、初期の持ち出しを抑えたい診療所

クラウド型でも初期設定費・研修費は発生します(出典:medical-jpn.jp)。無料をうたう提案でも、この2つが別建てになっていないかを確認してください。

通信回線が止まったときに診療をどう続けるかは、契約前に取り決めておく必要があります。代替手段と復旧の連絡先を、稼働前にメーカーと文書で確認してください。

電子カルテの導入費用と運用コストは、初期費用だけで判断しない

電子カルテの導入費用は初期費用だけで判断すると、稼働後の運用コストで想定と違う総額になります。導入費用はシステムによって幅があり、無料で開始できるケースもあれば1000万円を超えることもあります。300〜500万円程度になることが多いとされています(出典:mnes-lookrec.com)。

金額の幅が大きいのは、含まれる作業と機器が製品ごとに違うためです。クリニックを20年運営する前提で見ると、初期費用の差より長期の運用コストの差が総支出に効いてきます。この点は複数の一次情報でも指摘されています(出典:clinic.m3.com)。

月額・保守・更新を足して、使う年数で割って比べる

候補どうしを同じ土俵に乗せるには、初期費用+(月額×使う年数の月数)+保守費+機器の入れ替え費を1本の数字にします。金額の大きい行を見比べるだけでは、総額の差が見えません。

年数は、自院が次に更新を考える時期で置いてください。5年で置くか10年で置くかで、初期費用が高い提案と安い提案の優劣が入れ替わることがあります。この計算のしかたを上位ページは書いていません。

見積書で確認する行:初期設定費・研修費・データ移行費・保守費

見積書で確認する行は、初期設定費・研修費・データ移行費・保守費の4つです。この4つが「含む」か「別途」かで総額が変わります。別途なら、金額と発生条件を書面でもらってください。

次の3つも、質問項目として見積り時に確認してください。

  • 追加のライセンス費が何台目からいくらかかるか
  • 端末を増設するときの費用
  • バージョンアップ費が何年目にいくら発生するか

補助金の対象になるかは制度の要件で決まります。対象・要件・補助額・申請期間は、必ず公式の一次情報で確認してください(出典:medical-jpn.jp)。

見積書で見る4つの行
  • 初期設定費が含むか別途か
  • 研修費の対象人数と回数
  • データ移行費の範囲
  • 保守費の年間発生条件

メーカー選定で必ず見る条件は、連携性・サポート体制・セキュリティ

メーカー選定で必ず見る条件は、他システムとの連携性・サポート体制・セキュリティの3つです。この3つは機能一覧には出にくいため、個別に質問して確認する必要があります。

レセコン、検査システム、PACS(画像を保存・参照するシステム)、予約や問診のシステムを確認してください。どれが標準連携でどれが個別開発かを型番単位で確認します(出典:mnes-lookrec.com)。連携に追加費用が出るかどうかは、見積り段階で必ず文書で確認します。

サポートは、受付時間・連絡手段・訪問の可否を契約書で確認する

サポート体制は、パンフレットの記載だけでなく契約書のどこに書かれているかを確認します。24時間365日の窓口や遠隔保守を掲げるメーカーもあります(出典:tokyo-medicom.co.jp)。

診療時間中に止まったとき、何分以内に誰が対応するのか、訪問はいつ来るのかを具体的な条件で聞いてください。掲げている内容が契約書に明記されていなければ、口頭の説明だけで判断しないほうが安全です。

停電・障害・バックアップの備えを、稼働前に取り決める

停電・災害・システム障害への備えは、導入前に決めておく事項です。バックアップの取得間隔、保管場所、復旧までの手順を確認してください(出典:mnes-lookrec.com)。

止まっている間の診療をどうするかも院内で決めておきます。紙の一時記録に切り替える手順を決めてください。復旧後にその記録を電子カルテへ入力する手順も、稼働前に取り決めておくと当日の混乱が減ります。

操作性は、デモで院長と受付・看護スタッフが別々に確認する

操作性は、院長1人で確認するのではなく、受付・看護スタッフと別々にデモで確認します。導入直後は操作に不慣れで、一時的に診療効率が落ちることがあります(出典:medical-jpn.jp)。その落ち込みを短くできるかは、デモを見た時点で見当がつきます。

院長が見るのは、よく使う病名・処方のセット入力、前回カルテの呼び出し、検査結果の参照までのクリック数です。毎日繰り返す操作ほど、クリック数の差が積み重なります。

受付が見るのは、保険証の登録から会計までの流れです。看護スタッフが見るのは、バイタルや処置の記録と、診察室との情報の受け渡しです。デモは自院の実際の1日の流れ(初診、再診、処置、会計)を再現してもらってください。カタログの機能説明だけのデモでは、この差は判断できません。

小規模の診療所でも電子カルテを導入すべきか

小規模の診療所でも、検索性・情報共有・院外連携・保管スペースのどれかに困っているなら導入を検討する価値があります。紙カルテと電子カルテの違いは、この4つに出ます(出典:mnes-lookrec.com)。

医療DXの推進により、電子カルテの普及率は年々高まっています。2030年までに全医療機関への導入を目指す政策も進められています(出典:tokyo-medicom.co.jp)。

導入を急がなくてよいのは、記録の検索に困っておらず、院外との情報のやり取りも少ない場合です。ただし制度対応が必要になる時期は、公式情報で確認してください。

  • いま導入する理由がある診療所:紙カルテの検索に時間がかかる/複数の医師や施設と情報を共有する機会が多い/カルテの保管スペースが不足している
  • 時期を待ってよい診療所:記録の検索に困っていない/院外との情報のやり取りが少ない/制度対応の期限まで余裕がある

紙カルテからの移行は、診療を止めずに進める段取りを先に決める

紙カルテからの移行は、全患者分を一度に入力せず、段取りを先に決めてから進めます。紙カルテを運用してきた施設では、移行期間が必要です(出典:mnes-lookrec.com)。

過去分は、次に来院した患者から入力する運用にすると、診療を止めずに進められます。どこまで遡って入力するかは、移行を始める前に決めておいてください。全期間を一度に電子化しようとすると、移行作業だけで診療時間が圧迫されます。

スタッフ研修は稼働日の前に済ませ、稼働直後は1日の予約数を抑えます。導入計画の立案と事前準備を最初の段階に置いてください(出典:medical-jpn.jp)。医療事務まわりの費用と進め方は、医療事務の効率化にかかる費用と、常勤5〜10名の医院に合う進め方でも扱っています。

電子カルテのメーカーは、導入後に変更できるのか

電子カルテのメーカーは、導入後に変更できます。ただし移行できるデータの範囲はメーカーと契約によって違います。いま契約する時点で「解約時にデータをどの形式で出せるか」を確認しておく必要があります。

過去のカルテが画像や独自形式でしか出せない場合、次の製品では参照専用になることがあります。出力形式、費用、対応期間を契約前に質問してください。

変更の作業は、初回導入と同じくデータ移行・研修・並行運用が発生します。最低契約期間と解約の申し出時期も契約書で確認してください。

1社目を選ぶ段階から、質問リストにこの確認項目を入れておいてください。候補を絞る前に確認しておくほど、あとで選び直すときの手間が小さくなります。

候補を3社に絞ってから、同じ条件で見積りを取る

候補を絞るには、設置の形、レセコンの扱い、必須の連携先の3点を先に決めます。この3点を決めるだけで、候補は自然に減ります。

残った候補には、同じ機能一覧・同じ使用年数・同じ台数を渡して見積りを依頼してください。条件がそろわない見積りは比べられません。

  • 見積りを受け取ったら突き合わせる項目:初期設定費・研修費・データ移行費・保守費の4行
  • 解約時のデータ出力条件(形式・費用・対応期間)
  • デモの評価:院長・受付・看護スタッフの3者が操作の項目ごとに点をつける

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院内のAI活用を相談したいときに、当社がやっていること

電子カルテの選定と並行して、受付や会計まわりの業務にAIを使えないか相談されることがあります。当社(株式会社AiPHA)は、社内に専任のAI担当者がいない組織向けに、業務の棚卸し(AIを使える業務を20〜30件抜き出し、削減時間・費用・難易度で順番を決める)から社内ルールの整備までを毎月支援しています。

3ヶ月の進め方は、初月に棚卸しを行い、2ヶ月目に手順書を渡して実務で使います。3ヶ月目には社内ルールを整えて、減った時間を記録します。日々の運用の代行はせず、安全に運用できないと判断した業務はAI化を勧めません。医療事務まわりの費用と進め方は医療事務の効率化にかかる費用と、常勤5〜10名の医院に合う進め方、AI導入支援の費用相場の考え方はAI導入支援会社の費用相場と選び方、専任担当者不在の企業向けに解説で扱っています。

よくある質問

電子カルテはどれがいいですか?

製品名だけでは決まりません。設置の形(オンプレミス型かクラウド型か)、レセコンの扱い、必須の連携先の3点を先に決めます。この3点を決めてから候補を比べると、自院に合う製品が絞れます。

電子カルテの三大原則は?

電子保存の3原則は見読性・真正性・保存性です(出典:mnes-lookrec.com)。製品がこの3つをどう満たしているかを、選定時にメーカーへ確認してください。

小規模診療所でも電子カルテは必要ですか?

記録の検索、院内外の情報共有、保管スペースのどれかで困っているなら、検討する価値があります。困っていなければ、制度の要件を確認したうえで時期を決めてください。

電子カルテメーカーを途中で変更することはできますか?

できます。ただし過去データの出力形式と費用、最低契約期間の条件を、変更を決める前に確認してください。

まとめ

  • 先に決めるのは設置の形、レセコンの扱い、必須の連携先。この3点で候補が絞れる
  • 費用は初期費用ではなく、使う年数で割った総額で比べる
  • デモは院長と受付・看護スタッフが別々に、自院の1日の流れで確認する
  • 契約前に、解約時のデータ出力条件とサポートの受付時間を書面で確認する

次の一歩は、自院の診療の流れ(受付・診察・会計・検査)で時間がかかっている場面を書き出すことです。そのうえで、同じ条件で3社に見積りを依頼します。

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